ロシアのウクライナ侵攻と日本国内で起こっている核共有に関する議論について、カクワカで声明を出しました。
2月24日、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を始めました。プーチン大統領は、何度も核兵器使用の可能性を示し、27日には核戦力(を含む抑止力)を「特別態勢」に移すよう命じました。
そうした事態に乗じて、自民党・安倍晋三衆議院議員は、ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリアの核共有(核兵器を自国の領土内に配備して共同運用する)を例に挙げ「世界はどのように安全が守られているかという現実の議論をタブー視してはならない」(2月27日テレビ番組にて)と発言しました。
安倍氏の発言にはじまり、自民党・世耕弘成参院幹事長、国民民主党・玉木雄一郎代表らも非核三原則の意味や在り方について議論すべきだ、などと語りました。
日本は「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を国是とし、核拡散を防止するNPT(核拡散防止条約)にも加盟しています。岸田首相もそうした政府の立場から「核共有」の可能性について否定しましたが、こうした発言は日本への核配備を容認する国民世論の形成につながりかねません。
ヒロシマ・ナガサキで起きた出来事をもう一度思い出してください。77年前、原爆投下により、一瞬にして多くの尊い命が奪われました。広島では、推計14万人が亡くなったとされていますが、名前が明らかになっている犠牲者数はたった8万9025人です(中国新聞、2019年11月28日付)。その惨状を経験した被爆者は「核兵器のない世界」を目指し行動し続けてきました。日本も唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を希求し努力してきましたが、今回の動きはそうした被爆者の思いを裏切る行為でもあります。
そして、私たちは「議論すべき」という耳障りのいい言葉を使い、本質的な危険性が見過ごされることを憂慮しています。核兵器の使用や運用の議論は決して許されてはなりません。 「核には核を」という論理は、終わりのない核の拡散、そして核戦争による世界の破滅を招きます。速やかな停戦を求め、世界的な核軍縮をリードすることこそ、被爆国・日本の政治家が本来果たすべき役割だと考えます。
核兵器がもたらす破滅的な被害を知る被爆地の市民として、非核三原則の再考や、核共有の議論を進めようとする国会議員に強く抗議します。私たちは、ビキニ環礁での核実験による被害者をはじめ、世界中のヒバクシャとともに、核兵器の廃絶と、全ての人々の尊厳が守られる世界の実現を訴え続けていきます。
2022年3月1日(ビキニデーに思いを寄せて)
核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)